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>>>歯と女性の健康


女性ホルモンの分泌が盛んになると歯周病になりやすい
女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2種類がありますが、これらは月経や妊娠をつかさどるだけでなく、自律神経、感情の働き、皮膚、骨、筋肉など全身に影響を与えています。
プロゲステロンは、歯肉の血管に働きかけて歯肉溝(歯と歯茎の間にある溝)からの浸出液の分泌を増やします。
そして、毛細血管の内皮細胞を変化させ炎症反応も増やしてしまいます。したがって、少しのプラーク(歯の表面についた白っぽいネバネバしたもの。苔のようにはりついた細菌の集団)でも炎症を起こしやすく、歯周病のリスクが高まってしまうのです。

女性ホルモンの変化で歯茎の炎症が起こりやすい
私たちの口の中は、十分なケアをしていても多くの細菌が住んでいる場所。月経が近づき基礎体温が高温期に入るとホルモン量の変化が生じ、その影響で歯茎が腫れたり、口内炎ができるなどのトラブルが起こりやすくなります。
それは、口内細菌が歯茎などからの浸出液に含まれている女性ホルモンを栄養にして、増殖しているためではないかと考えられています。

誤解
歯磨きさえきちんとできていれば、歯周病にはならないんでしょ?

常識
女性ホルモンも歯茎の炎症を起こす原因

妊娠12〜13週間以降は要注意
妊娠期は女性ホルモンの分泌がかなり増えるので、口内の健康にとっては気をつけなければならない重要な時期です。
妊娠12~13週には、女性ホルモンの濃度が上昇するのですが、そのときの歯周病菌のひとつであるプレボテラ・インテルメディアという菌が妊娠初期と比べて5倍にも増加します。そのうえ、妊娠初期はつわりでプラークコントロールがおろそかになりがちで、歯茎の炎症が起きやすかったり、むし歯にもなりやすいのです。
妊娠すると赤ちゃんにカルシウムが取られてしまうから歯が弱くなると考えている人は多いのですが、それは誤解。妊娠中にむし歯や歯周病になりやすいのは、女性ホルモンが多く分泌されることが主な原因なのです。

誤解
妊娠・出産は赤ちゃんにカルシウムを取られるから、歯が弱くなるのはしかたない・・・

新常識
カルシウムは取られない。
歯が弱くなるということもない!

早産・低体重児出産のリスクは7.5倍!
ホルモンの影響でむし歯や歯周病のリスクが高まる妊娠期ですが、歯周病の妊婦さんの場合、歯周病がない妊婦さんと比較すると、早産や低体重児出産のリスクは7.5倍。タバコを吸う人の3倍よりも多いという報告があります。歯周組織に炎症が起こると、そこから炎症物質が出てきます。人間の体はつながっていますから、そこで発生した炎症物質が血管を通じて子宮にも影響を及ぼし、子宮の収縮を起こしやすくしているのではないかと考えられています。

妊娠前からケアがポイント!
妊娠中は受診時期を逃がしてしまい重症化してしまうこともあります。しかし、日ごろから口の中を清潔に保ち、必要な治療は妊娠前にすませておくことで十分予防することができるのです。

思春期は歯茎が腫れやすい
思春期も女性ホルモンが急速に増える時期です。そこに試験によるストレスや疲れによる免疫力の低下、口内ケアが不十分だったりということが重なってくるので、歯茎が突然腫れることがあります。
女性ホルモンの量が増えると歯茎が過敏になり、少しのプラークでもひどく炎症を起こして赤く腫れたり出血したります。したがって、思春期には特に丁寧なブラッシングや、歯科医院で定期的に歯石を取るなどプラークコントロールを行うことが必要です。

更年期にありがちな体のトラブルが歯槽膿漏の原因
個人差はありますが、更年期に入る40歳過ぎころから月経が乱れ始め、女性ホルモンが減ってきます。
女性ホルモンは骨量と骨密度を保つ働きをサポートするという役割があり、この時期になると骨粗しょう症が起きやすく、結果として慢性的な歯槽膿漏になってしまうことがあります。また、口内の渇きを感じる人も増えるのですが、その要因は加齢だけでなく女性ホルモンの分泌量の低下によるものと考えられています。
よく「年を取って歯がやせた」とか「むし歯になりやすくなった」との歯の老化を訴える人もいますが、歯が老化するということはありません。だ液の自浄作用が低下していたり歯周病により歯茎がやせてそう感じるのです。

骨密度の低下によって高まる歯周病のリスク
骨密度と歯槽膿漏には深い関係があります。歯槽膿漏とは歯槽骨周辺の組織が炎症を起こし膿がたまる症状で、進行すると歯槽骨はボロボロになってしまいます。
歯は歯槽骨を土台として本来がっちり支えられているのですが、歯周病が悪化すると少しずつ溶けてなくなってしまいます。骨粗しょう症の人はそれだけ骨がもろいので歯槽膿漏が進みやすいのです。
更年期に入る前から、毎日のブラッシングをていねいにして、歯周病の予防を心がけましょう。

誤解
歯が老化しちゃったみたい。骨といっしょで歯も弱ってきてるのね!

新常識
歯周病の進行は早まるが、骨粗しょう症になっても歯そのものは老化しない!

歯周病が歯茎を下げる
歯槽骨が溶けると歯茎も下がる
歯周病で歯茎だけが腫れたのであれば、回復するとともに歯茎が引き締まり色も元どおりになります。
しかし、骨まで溶けるほど進行してしまうと骨そのものが下がるので、腫れが治まっても歯茎は下がったまま元には戻りません。そのため歯と歯のすき間が目立ったり、歯がやせたように感じるのです。
歯茎がかぶっていた所はエナメル質でカバーされずむき出しですから、歯茎と歯の境い目付近がむし歯になりやすく進行もとても速いので注意が必要です。

ストレスで唾液が減少!更年期以降の女性に急増!
年をとると誰もがだ液の分泌は減少してくるものです。
しかし特に女性については更年期以降、女性ホルモンの分泌が低下することで、口の中が乾いてきます。
女性ホルモンには体の皮膚粘膜を保護し、潤いを保つ働きがあるので、ホルモンバランスの乱れはだ液の減少につながることにもなるのです。
若い世代でもストレスやホルモンの影響から、だ液の量が減ることもあるので、注意が必要です。

誤解
年をとってだ液が減るのは老化現象でしょ?

新常識
ストレスやホルモンの乱れからだ液の量が減ることもある

だ液を出すためには、
だ液の働き
1. 口の中をきれいに洗い流す
2. 抗菌作用で体を守る
3. 食べ物の消化を助ける
4. 粘膜を保護して傷を治す
5. 再石灰化作用で歯を守る

噛み合わせが悪いと奥歯でしっかりかめないので、だ液も出なくなります。
歯科医医院で噛み合わせのチェックをしましょう。また食事はしっかりかみましょう。

日頃から気をつけたい歯と口のケア
女性ホルモンの影響で、歯と歯茎のトラブルを起こしやすい女性は、セルフケアをきちんとしておきたいもの。
そのポイントをご紹介します。

・歯ブラシは何種類かを使い分けると
歯並びや歯の状態は人によって違います。
歯ブラシには毛の硬さや形状にいろいろと種類があるものです。
歯並びによって磨きにくいところは小さなヘッドの専用歯ブラシを使うなど、磨く場所によって何種類かの歯ブラシを使い分けると効果的です。

・歯茎のチェックも忘れずに
日ごろから歯茎の状態もチェックし、正常な色や状態を確認しておきましょう。
赤みや腫れがあったら早めの受診を。

・定期的な検診でコントロール
口の健康を維持するため、定期的な検診を受けましょう。
検診では歯茎やむし歯のチェックのほか、顎のレントゲンを撮る場合もあります。
同時に正しい歯磨き指導をしてもらうことも忘れずに。

>>>ストップ!二次う蝕

ロゴを挿入すでに詰めたりかぶせたりしてある歯が再びむし歯になることです。
一方、治療していない歯がむし歯になったものを「原発う蝕」と呼んでいます。 40代からシニア世代では「原発う蝕」の治療より「二次う蝕」、つまりやり直しの治療がだんぜん多くなっています。
古くなった詰め物やかぶせ物のまわりにできた小さな隙間に細菌や細菌の出す酸が入り込んで歯の内部にむし歯が広がってしまう。
自分では気付きにくいので、定期検診での早期発見&予防!これが良い歯をいつまでも保つことの秘訣です。

せっかくの治療、長持ちさせたい
二次う蝕は、詰め物やかぶせ物などの下や周囲にできるため、せっかくしてある治療がダメになってしまったり、気がついたときにはひどく広がっていて抜歯が必要になってしまうこともあり、やっかいなむし歯です。
歯がしみたり、痛んだりして気がつき、来院される方もいらっしゃいますが、修復物の影に隠れて進行するため、患者さまご自身ではなかなか発見しにくいのが特徴です。
見えにくく、初期症状が知覚過敏に似ているので、つい我慢しがちなことも発見が遅れる原因です。
歯科医師が診査すると、歯と修復物の継ぎ目が黒く変色していて、むし歯が継ぎ目から奥に入り込んでいたりします。また、エックス線検査で発見できることもあります。
他の治療で歯科医院に行った際にたまたま二次う蝕が見つかって、詰め物をはずしてみると、「中で大きく広がっていた」ということが少なくありません。
ロゴを挿入目立って増えてくるのが30~40代以降です。若い頃に詰めてもらったものが、10数年経って詰め物と歯との継ぎ目などに劣化を起こし、そこに二次う蝕ができてしまうのです。この年代以降の患者さまのむし歯の治療といえば、ほとんどが二次う蝕のケースです。
むし歯の治療では、失ったエナメル質や象牙質の部分にメタルやプラスチックなどの充填材を詰めます。長い間使っていると(歯と詰め物の継ぎ目付近に多いのですが)不具合が生じて、細菌や細菌が出す酸が歯と修復物の隙間から入り込み、溶けやすい象牙質にダイレクトに届き、むし歯を発生させてしまうことがあります。
しかし、むし歯のメカニズムが解明された現在では、二次う蝕を含めた「むし歯」を効果的に予防することが可能です。健康な歯のみならず、治療した歯を治療直後のよい状態でお口の中を変えていくことがとても大切です。
せっかく治療しても、お口の中がむし歯になりやすい状態のままでは、しばらくたつと今度はデリケートな歯と修復物の継ぎ目(界面)周辺に新たなトラブルが起きます。これでは治療のいたちごっこです。
「治療をしたからもうこれで大丈夫」と油断せず、セルフケアの指導を受け、定期的にメンテナンスに通ってお口を清潔に保ってください。とくに定期的に歯科医院を訪れメンテナンスしてもらうことは、歯を守るためのすばらしい方法です。数年後、必ずやその違いを実感なさることでしょう。
ロゴを挿入
見えにくい、気づきにくい
エナメル質
特別に硬くできている。硬さでは体内随一。
細菌や細菌の出す酸の侵入を阻んで、感染が起きやすく無抵抗な象牙質を守っている天然の鎧。唾液の力(再石灰化)によってつねに補修されているが、継続的に強い酸にさらされると、さしものエナメル質もついには溶けはじめてしまう。
また、硬いが弾力性には欠けるエナメル質は、軟らかい分たわみにタフな象牙質と、もちつもたれつで歯の強度を維持しています。

象牙質
からだの骨と同じくらいの硬さで、エナメル質にくらべてずっと軟らかく、細菌や酸に弱く溶けやすい。
エナメル質の防御がなければ、甘い物や酸っぱい物を食べ続けると溶けてしまうほど。ロゴを挿入そのため、詰め物などの隙間から細菌や酸がひとたび侵入すると、むし歯は象牙質で広がりやすい。象牙質には神経が来ているので、知覚過敏に似た「しみる感じ」で気付くことが多い。

歯 髄
俗に「神経」と呼ばれるところ。象牙質に伝わった刺激を痛みとして脳へ伝える。痛みが出てはじめて歯からの警告に気付き、歯科医院に駆け込む人が多い。しかし、すでに歯髄を抜いてクラウンをかぶせてあったり、歯髄が死んでいる場合は、痛みを感じないから二次う蝕になっても自覚症状がなく、発見が遅れやすいので要注意!

こんなところに要注意! ロゴを挿入
コンポジットレジン充填の周囲から二次う蝕になっています。いまは接着材が進歩しているので、悪くなったところだけを取って、レジンで埋め治すことができます。
見た目にも分かりにくく、歯髄(神経)を抜いてあると痛みも出ないため、異変に気づかず発見が遅れ、抜歯になってしまうこともあります。クラウンだからといって油断は禁物です!
部分入れ歯の針金をかける歯は、むし歯になりやすいので要注意です。とくに根面はエナメル質よりはるかに酸に溶けやすいので、二次う蝕にも原発性う蝕にもなりやすいのが特徴です。

進化している治療法
治療が終わった患者さまから「先生、この治療はどれくらいもちますか?」と聞かれることがあります。たしかに、詰めたり、かぶせたりした物の寿命については統計も出ていて、かつては4~5年もてばよいほうでした。
現在は、技術革新により歯科の接着材の性質が格段に向上し、治療成績はぐんとよくなってきています。
その結果10年くらい持たせることができるようになりました。
接着材料は歯と強く結合し、削られてむき出しになった象牙質面をコーティングするため、まるで人工のエナメル質のように働きます。

また、高い接着力のおかげで、従来の治療のように、詰め物がはずれないよう、詰める穴をわざわざ大きく成形する必要がありません。そのため、エナメル質も、象牙質も、従来の治療法にくらべると削る量が少なくすみます。これは、歯の寿命にとってたいへん大切なことです。
小さなむし歯ができたときには、コンポジットレジンというプラスチックとセラミックスが合わさったような、歯の色をした充填材でしっかり治療し、二次う蝕を防ぎます。コンポジットレジンはリペアですませて歯質を残すことが可能です。 

(鶴見大学歯学部 桃井保子教授のテキストを参考にさせていただきました。)